この世界で君を愛す
私は寝室のクローゼットを開け 引き出しの中から「例の物」を取り出した。


そして それをお姉さんに渡した。



「できれば…この手は使いたくなかったんだけど しょうがないわね。」


お姉さんは それを開くと渉に見せた。



「通帳…?」


渉はそれを見ると目を丸くして固まってしまった。


「二千…万…。」



「そう。このお金はね…渉…あんたの保険金なのよ。自分の保険金を見ることができたのは 世界であんた一人かもしれないわね。」



渉…大丈夫かな…。


ショックだよね…?



私は渉が少し心配になったが お姉さんは構わず話した。



「そして…私が何故これを渉に見せたか…。わかる?」


「わかんない。」


放心状態の渉が答えた。



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