この世界で君を愛す
お姉さんと正木君が帰り 部屋には私と渉とチョコが残った。

さっきまで賑やかだった空間が静まり返り ちょっとした寂しさを覚えた。


渉はヤレヤレという風にソファーに腰をおろした。



「渉…無理言ってごめんなさい。渉が嫌ならやめてもいいよ…?」


私が謝ると 渉はふぅ…と溜め息をついた。


「いや。僕こそごめん。」


「なんで渉が謝るの?」


「僕だって結婚式をしたくなかったわけじゃないんだよ。ただ未知のためだと思って。でも それは僕の勝手な思い込みだったのかもしれない。未知の人生なんだから 未知には選ぶ権利があるのにね。」


「渉…ありがとう!」


私が抱き着くと 渉は照れたように笑った。


「あと…保険金のこと…脅迫みたいでごめんね。」


「ははは!姉さんが本当に未知を刑務所送りにするなんて思ってないよ。脅迫されたおかげで未知と仲直りできたしね。」


「それもそっか。」


私達は顔を見合わせて笑った。



< 223 / 310 >

この作品をシェア

pagetop