この世界で君を愛す
-ピンポーン-



チャイムを鳴らすと すぐに鍵を開ける音がして 僕の緊張は最高潮に高まった。


顔を覗かせたのは未知の母親だった。


「おかえり未知!最近さっぱり顔を出さないんだから。」


「お母さん。あの…。」


「なあに?どうしたのよ。」


未知の母親がドアの陰になっていた僕に気付いた。


「あら?どうもこんばん…わ…。」


僕も頭を下げて挨拶をした。

「こんばんは。」


未知の母親は胸に手を当てると目を閉じて数回大きな呼吸を繰り返した。


「びっくりした…。あんまり似てるから…。渉さんにはお姉さんがいるだけだって聞いてたから。親戚の方?」


「いや…。」


僕は言葉に詰まって 未知と顔を見合わせた。



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