この世界で君を愛す
出されたお茶を無言で飲んでいると 未知のお母さんはクスクス笑い出した。


「ちょっと未知。いつまでお母さんをからかうつもり?早く本当の事を教えてちょうだい?」


「えっ?」


未知は僕の顔を見た。


「からかってなんかいないよ。本当に…。」


「もう 未知ったらやめてよ。たちの悪い冗談言って。」


そしてお母さんはまた笑った。


未知は焦ったようだ。


「ちっ違うの お母さん!冗談なんかじゃ…。」


その時 玄関の開く音がした。


「あら。お父さん帰ったみたい。」


お母さんは腰を浮かせ 部屋を出て行った。



取り残された僕と未知は深い溜め息をついた。



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