この世界で君を愛す
未知の両親は話をじっと聞いていた。


二人とも険しい表情をしている。


未知の父親は腕組みをすると ゆっくりと口を開いた。


「信じられん…。百歩譲って君が本当に渉君だとしよう。もしそうなら…私はなおさら許せない。」


「お父さん…どうして?」


未知が小さな声を出した。


「これが詐欺で騙されているなら 警察に突き出すなり 訴えるなりできる。しかし…本当に渉君なら…。」



僕には未知の父親が何を言いたいのかわかっていた。



「私は渉君が亡くなった事を許せないわけじゃないんだ。あれは事故だったんだから どうしようもないことだ。私が言いたいのは 何故戻ってきたのかということだ。未知を喜ばせておいて またいなくなるんだろう?未知が苦しむだけじゃないか。」


「お父さん…渉は…私のために…。」


必死で僕をかばう未知に 父親は厳しい言葉を続けた。



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