この世界で君を愛す
ショックで動けない未知を抱えるようにして なんとか立たせた。


「未知。帰ろう。」


未知は無言で頷いた。



僕はずっと黙っていたが 部屋を出る前に一つだけ言いたい事があった。


「お父さん…あの時の約束…守れなくてすみませんでした。」


僕がお辞儀をして部屋を出ようとすると 父親が声を発した。


「…ちょっと待ちなさい。」


僕が振り返ると「いや…何でもない」と言って父親は口を閉ざした。



僕は再び深くお辞儀をすると 未知を連れて この家を後にした。


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