この世界で君を愛す
-ガラガラガラ…-



戸を開けて店内を見回すと カウンターのはじっこに 未知の父親は座っていた。


「…お父さん。」


「おぅ 来たか。まぁ…座りなさい。」


僕は座るとビールを頼んだ。


父親は顔をしかめて僕を見た。


「なんだ。ビールか。日本人なら…」


「日本人なら日本酒を飲め…ですよね?あの時もそう言われました。」


「はっはっ!そうだったな。そして渉君はこう言い返してきた。」


「今ではビールも立派な日本の文化です…でしたよね?」


「その通り。」


父親は目を細めて 美味そうに日本酒を飲んだ。



< 239 / 310 >

この作品をシェア

pagetop