この世界で君を愛す
私はこれ以上話をすることができなかった。

もし口を開いたら 大声をあげて泣いてしまいそうだった。

私は深く頭を下げると 急いで式場の外に出た。

私の姿を確認した正木君が 車を降りて私のそばまで近づいてきた。



「…キャ…ンセルしてきちゃった…。もう結婚式できませんって…」



思った通りだった。



言葉を発したら涙がどんどん流れてきて せき止められていた気持ちが押し出されてしまった。



「なんでかな。なんで渉は突然いなくなったのかな。わ…私をおいて…なんで…どうして…死んじゃったの?約束したのに…結婚しようって約束したのに!」



人前なのも構わず 私は大声でワンワン泣いた。

しゃがみ込んだ私の膝に 涙がいくつも流れて落ちた。




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