この世界で君を愛す
「相変わらずの飲みっぷりだ。」


父親は笑うと 思いもよらない事を言った。


「実はね。結婚式の事…許そうと思うんだ。」


「…え…?」


僕はポカンと口を開けて隣を見た。


「なんだ その間の抜けた顔は。」


「いや…あの…。」


僕は今の状況が信じられないでいた。


「それは…どうしてですか?」


「どうしてだろうね。やっぱり娘には甘いってことかな。」


未知の父親もおかわりを頼むと 言葉を選ぶようにゆっくりと話しだした。


「この前…君達が帰った後でね。家内と話したんだ。もし私と家内が…渉君と未知と同じ境遇になったら…ってね。」


「どちらかが死んだら…って事ですか?」


「うん。そしたら やはり…君達と同じ事を望むかもしれない。それが間違っているとしてもね。」


「……。」


「世間が間違ってると言っても…未知が心から望むなら…私達だけでも認めてやらなければいけないかもしれない。そう思ったんだよ。」



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