この世界で君を愛す
その後 僕とお父さんは楽しく酒を飲んだ。


話の内容は もっぱら未知の子供時代の事だった。


その中には かなりウケる話もあり…家に帰ったら未知をからかってやろうと僕は思った。


終電近くになり 名残惜しい気持ちで席を立った。


店を出たところで 僕は聞いた。


「お父さん。でも…どうして僕が僕だと信じてくれたんですか?いくら試したといっても…普通なら信じられないのに。」


「未知が小学生の頃…おじいちゃんに会って 明日は公園で遊んではダメだと言われたって言うんだ。そしたら翌日…公園の古い大木が倒れるという事件が起こってね。幸い怪我人は出なかったんだが。」


「おじいちゃんというのは…?」


「私の父親だが…その事件が起こる二年前に死んでるんだ。」


「幽霊…ですか?」


父親は可笑しそうに笑った。


「君がそんな事を言うなんてな。幽霊かどうかはわからないけど…未知がおじいちゃんに会ったというのは本当だろう。」



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