この世界で君を愛す
「そうですよね…僕がそんな事言うのは変ですよね?僕だって そのおじいちゃんと似たようなものなのに。」


また僕達は笑った。


「未知は…何故か不思議な事を呼び寄せる運命なのかもしれない。だから渉君の事も信じる事ができたんだよ。」


「そうだったんですか…。」




未知の父親は白い息を吐くと 空を見上げた。


「冬は空気が澄んでるなぁ。いつもは見えない星が少しは見える。」




僕も空を見上げた。



居酒屋の前に 空を見上げる男が二人。



どちらの男も考えているのは 未知の事。



愛して止まない…未知の事。





終電が過ぎたと気付いて慌てるのは…数分後の事だった。






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