この世界で君を愛す
数時間後 ふと目を覚ますと もうすっかり夜だった。


真っ暗な部屋の中で 窓がぼんやり明るく見えた。


チラチラと白い物が舞い降りている。


私は横になったまま 視線だけを移した。



雪が…降ってるんだ…。



渉が窓際に立って じっと静かに外を眺めている。


渉の体は白く透き通って…今にも雪と一緒に消えてしまいそうだった。




キレイ…。




渉が透き通っていることに違和感を感じることもなく 私はただ…キレイだと思った。



やっぱり渉は…いつか消えていくんだなぁ。



熱のためか 寝起きのためか ただぼんやりと渉の姿を見つめていた。



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