この世界で君を愛す
-ピンポーン-



こんな寒い中 わざわざやって来るのはあいつしかいない。


僕はインターホンの画面をのぞいた。


…正解。


画面には わざと変な顔をした正木が映っていた。





「上田さん。実はお願いがあるんですけど…。」


正木は部屋に入るなり そう言った。


「お願い?頼むから変な事は言わないでよ。」


僕はそう言いつつも 正木のお願いとやらを聞いてやるつもりだった。


正木には…本当に感謝しきれないくらいなのだから。



「そんなに変なお願いじゃないですよ!ただちょっと…俺の故郷まで付き合って欲しいな~なんて。」


「故郷?確か正木の出身って…。」


「はい。北海道です。」



北海道…。


そこまで行くのに いったい何時間かかるんだろう…。



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