この世界で君を愛す
「持って帰れたらいいのにな…。」


膝を抱えた未知がポツリと言った。


「そうだね。家に持って帰って飾っておけたらいいけど…きっと溶けちゃうよ。」


「うん…。溶けたら可哀相だもんね。」



未知はふぅと白い息を吐くと 雪だるまを指でチョンとつついて言った。


「でも…ここに置いといても…春になったら溶けちゃうね。」





春になったら…。


間違いなく 雪だるまは溶けて無くなるだろう。



春になったら…僕は…。




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