この世界で君を愛す
こんな風に 渉と過ごすのは今日が最後。


明日この部屋を出たら 渉はもう帰って来ない。



「ねぇ 渉?」


「何?」


いつものようにベッドに入ると 私は腕枕をせがんだ。


「渉は…私の事…いつから好きだった?」


「えぇっ!?何 突然。」

渉は顔を真っ赤にした。


「私はね 図書館で会った時にね…いつもと違う真剣な渉を見て好きになったんだよ。」


「僕はいつでも真剣なつもりだったけどね。」


渉は笑うと 私の髪を撫でた。


「僕はね…正真正銘の一目惚れだよ。初めてあの店に行った時…接客してくれたのが未知だったんだ。」


「嘘でしょ?一目惚れされるような美人じゃないのに。」


「未知はキレイだよ。僕の奥さんなんだからキレイに決まってる。」


「あ ありがとう…。」




ちょっと恥ずかしくなった私は 布団をひっぱると顔を半分隠した。


< 290 / 310 >

この作品をシェア

pagetop