この世界で君を愛す
私達は空が白む明け方まで話し続けた。


出会ってからの事はもちろん…お互いの初恋やファーストキス…子供時代の事など まるで修学旅行の夜のように話は尽きなかった。


声を潜めて話したり 時には爆笑したり…よく隣の部屋から苦情がこなかったものだ。


話し疲れた私達は どちらが先に眠ったのかもわからず いつのまにやら夢の中だった。





そして運命の日。


運命という言葉が似つかわしくないような 穏やかな天気だった。


私達は昼過ぎになって ようやく起きだした。


シワシワのパジャマに 寝癖のついた髪。


目をこすりながらの大きなあくび。


相変わらずの渉の姿が 今はまだここにあった。



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