この世界で君を愛す
「お嬢さん クリスマスの日に朝早く結婚式してたでしょう。その時に散歩で通りかかった者なんだけどね。」


結婚式の時…?



「ああっ!!あの時のおじさん!?」


「おや。覚えててくれたのかい?」


「ええ まあ…。でもおじさんこそ よく私の事わかりましたね。ちょっとしか会ってないのに。」


おじさんは「肖像権の侵害だなんて訴えないでくれよ」と言いながら笑うと 鞄の中からポケットアルバムを取り出した。


「実は写真を撮るのが趣味でね。今日も桜の写真をとりに来てたんだけどね。あの時も あまりに珍しい結婚式を目にしたものだから 一枚パチリといったわけなんだよ。気に入った写真はこうやって持ち歩いて仲間に見せてるんだ。」


「おじさん…あの結婚式の写真撮ってたんですか…。」


「勝手に撮って悪かったね。でもとても良く写ってて おじさんのお気に入りの一枚なんだよ。」


そう言うと おじさんはアルバムの中から一枚の写真を抜き取った。



< 302 / 310 >

この作品をシェア

pagetop