この世界で君を愛す
今日は私一人で式場に来ている。

今日は…というか 今日もと言ったほうが正しいかもしれない。

渉はいつも仕事が忙しい。

研究をするのが仕事だから 職場に寝泊りするのもしょっちゅうだった。

だから…今日のように急に約束がダメになるのは慣れっこだった。


できない約束なら最初からしなければいい。

そう言ってケンカをする事も度々あった。


でも…。

私のドレスを選んでくれた時のように無邪気に笑う顔を見ると つい許してしまう。


惚れた弱みかな。


私は小さく息を吐くと また鏡の中の自分を見つめた。

ドレス姿は…結婚式当日まで 渉には見せてあげないよ。

うんとキレイになって 渉をびっくりさせてやるんだから!


私は鼻にシワを寄せると 今頃は仕事に没頭してるだろう渉に 小さく舌を出した。


< 4 / 310 >

この作品をシェア

pagetop