この世界で君を愛す
今まで未知と二人で出かける事なんて数え切れないほどあったが いざデートとなるとなかなかいい案が浮かばなかった。


「どこに行きたい?」


未知は少し考えた後で答えた。


「遊園地!」


「遊園地―?子供っぽくない?」


「いいの。デートって言えば遊園地でしょ」


「誰が決めたの そんなこと」


僕が言うと 未知は拗ねたように口をとんがらせた。

僕はその未知のとんがった口を指でつまむと笑って言った。


「わかった わかった。いいよ。遊園地に行こう」


途端に未知は目を輝かせた。


「本当?じゃあ急いで支度するね!」


「うん。なるべく早くね」


「わかった!」


そう言って走るように洗面所に消えた未知の背中を僕は見送った。




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