この世界で君を愛す
僕達はブランコが回転する乗り物に乗ったり メリーゴーランドに乗ったり まるで子供のようにはしゃいだ。

太陽が大分西に傾いた頃 僕と未知はベンチに座ってソフトクリームを食べた。

未知は小さな舌でちょっとずつクリームを舐めながら「楽しかったね」と言った。


「楽しかったねって…まだ終わりじゃないよ」


「え?」


未知は僕の顔を見た。


「ほら あれ。まだ乗ってないでしょ」


僕の指差す方向に観覧車があるのを見て 未知の顔が引きつった。


「あれ…乗るの?」

「もちろん。遊園地と言えば観覧車でしょ」


未知が観覧車を苦手なのは 六年前のデートでわかっていたけど 僕は嫌がる未知を引きずってその場所まで連れて行った。


ジェットコースターと違って 観覧車は高い所がずっと続くから苦手なのだそうだ。


「ごゆっくりお楽しみください」

係員が笑顔でドアを開けると 僕は後ろから未知を中に押し込み すぐに自分も乗り込んだ。




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