この世界で君を愛す
僕達は手を繋いで歩いた。


目の前には 一人ぼっちの未知の長い影。



僕は戻ってきて良かったのだろうか…。


未知を喜ばせておきながら いつかまた必ず一人ぼっちにしてしまうのに。


一年前と同じ悲しみを与えてしまうのに。



そんな僕に未知は言った。


「ねぇ渉?今日は楽しかったね!まだまだいっぱい渉と行きたい所あるんだから…付き合ってよね?」


僕は心の中の想いを吹き飛ばすように言った。


「えぇー?しょうがないな。どこでも付き合うけど…絶叫マシーンと女性物の下着売り場だけはごめんだよ」


「なんだ。渉のケチ」


「なっなに?まさか下着売り場に連れてく気だったの!?」


「んなわけないでしょ」


未知は楽しそうに「あはは」と笑った後 ポツリと言った。


「私…後悔なんてしない。これは神様からのプレゼントだよ」


「…うん」



僕は涙が出ないように上を向いて歩いた。





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