この世界で君を愛す

五年前…大学を卒業した私は　翻訳家になる夢を持ちながらコーヒーショップでアルバイトをしていた。

翻訳の仕事をしながら大学の講師をしている先生がいたので卒業前に相談したところ…先生の手伝いをしながら少しずつ翻訳の仕事を教えてくれることになった。

それで私は　早朝からコーヒーショップで働き　夕方から先生の手伝いをしに大学に通っていたのだった。

そのコーヒーショップに毎朝来る男性がいた。

寝起きなのかいつも髪はボサボサで変な寝癖がついていて　シャツはシワシワだった。

いつも朝８時頃現れて「本日のおすすめ」のコーヒーをテイクアウトで買っていく。

同じアルバイトの女の子なんかはおもしろがってその男性の話をしていた。

「見た見た？あの人三日連続で同じ服！なんか怪しい人だよねー！」

後にこの話を渉にしたらどよーんと落ち込んでしまった。


なぜなら…その男性こそが渉だったから。