この世界で君を愛す
「僕は君が好きです。それが言いたかった。返事はいつでもいいですよ。」

そう言い残して 私に背を向け去って行こうとする渉に私は言った。


「待ってください!返事はいつでもいいなら…今言ってもいいですか?」


「いっ今ですか!?いくらなんでも心の準備が…。」


渉は目を丸くして私を見た。


「心の準備がないのは私も一緒です!」


「そ…それはそうですけど…。今振られると 僕は立ち直れないような気が…。」


私は渉を睨んだ。


「どうして…どうしてずっとお店に来なかったんですか!私…寂しかったんですよ。もう来ないのかなって。私だって 図書館で会った時から好きなんですから!」


「えぇーっ!?」


渉は声が裏返るほどに驚いた後 私のすぐ側まで歩いて来た。

そして 優しい低い声で言った。


「今日スーツを着ていて良かったよ。いつものシワだらけのシャツと寝癖のついた頭じゃ…絵にならないからね。」


渉は背中を丸めると 私の頬にキスをした。





それが…私達の恋の始まり。




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