この世界で君を愛す
「未知?どうしたの?」

いろんな想い出が頭の中を駆け巡り ボーっとしている私に渉が言った。


「うん…。このコーヒーの香で 渉と出会った頃のこと思い出してた。」


「僕も…さっきあの店に行った時懐かしかったよ。未知はいつもこの場所で朝早くから笑顔だったなあって。」


「営業スマイルだよ。」


「それでもいいさ。その営業スマイルに僕は元気を貰ってたんだから。それに…その営業スマイルを僕だけのものにするのにも成功したし。」


「私は怪しい男性の正体を知る事ができたしね。」


「もうやめてよー。それを聞いた時 かなりショックだったんだからさ。」


渉がまた落ち込む姿を見て 私は渉が可愛く見えた。


「いいじゃない。本当はステキな人だってわかったんだから。」


私がそう言って笑うと 渉は優しく微笑んだ。


「ほら。やっぱり未知は笑顔が1番。いつも笑ってなよ。」


「えへへ」と私は照れ笑いをすると また一口コーヒーを飲んだ。



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