この世界で君を愛す
二人で車に乗り込むと いつものスーパーよりも品揃えの良い隣町のスーパーまで足をのばした。


「えっと…。ネギでしょ しらたきでしょ」


未知が一人でブツブツ言いながら先頭を歩き 僕はその後ろをカートを押しながらついていった。



前までは これが当たり前だの事だった。


小さいけど…僕の幸せな…時間の一つだった。



僕が感慨にふけっている間に 未知は随分先に行ってしまったようで 遠くから僕を呼んだ。


「おーい!渉―!これなんだけど…どっちにす…きゃっ!!」


「…あ」


豆腐を両手に持つ未知に 売り場を走ってきた子供が衝突した。


そして男の子はしりもち。


「大丈夫?」


未知が豆腐を持ったままかがむと 母親が血相を変えて小走りにやってきた。


「すみません!大丈夫ですか?」


「いえ。私は全然…あっ…阿部さん!?」


「あら。まあ!未知…さん!」



遊園地の偶然がまたここでも…。

もはや偶然ではなく必然かもしれない。

僕の考えすぎかな…?




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