この世界で君を愛す
「あの…阿部さん」


僕が口を開くと 阿部さんはニッコリと微笑んだ。


「わかっています。一年前…未知さんがあの式場で私に言った事も本当。そして今ここに渉さんがいる事も本当」


「えっ?阿部さんも知ってたんですか?」

今までやけ食いに徹していた正木が顔を上げた。


そんな正木にも 阿部さんは優しく微笑んだ。


「ええ。普通なら信じられないでしょうけど。私には不思議と理解できるんです。大切な人を失ったという…同じ経験をしてるからかもしれません」


「ふぅ…ん。なるほど」

正木が口をモグモグさせながら頷いた。


こんな時でも緊張感のない奴だな…。


溜め息をつく僕に阿部さんは言った。


「これにはきっと意味があるはず。神様からのプレゼントかもしれませんね」



神様からのプレゼント…。



それは未知が言ったのと同じ言葉だった。



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