天上のワルツが聴こえる
「たしかに…」

アンドロイドの予想に反して、フロルはすぐに答え出した。

「…最初はそうだった。だが、外界における状況の変化によって、壁は取り除かれたのだ…」

少年の声に、別の人間の声がエコーのようにかぶさってきた。

成人した大人の男性の声だ。

フロルの目は、何かに憑かれたように空の一点を茫然と見つめつづけている。

別の者の意識が、少年の口を借りて喋っているのだ。

「あなたは、誰です? あなたが、本当のマザーですか?」
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