天上のワルツが聴こえる
「ぼくの役目も、もう終わった」

自分を取り戻したフロルが、言った。

「マザー、わたしの役目も、もう終わりました。どうぞ、処分を」

アンドロイドは、澄んだ銀の瞳でフロルを見た。

フロルは、ちょっと首をすくめる。

「そうはいかない。君には、新たな仕事が待っている」

「新たな仕事?」

フロルは、うなずいた。

「彼女はどうなる? ただのヒトとして再生されても、右も左も判らないでは、生きていけない」

「しかし、それは…」
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