天上のワルツが聴こえる
「ピーチ!」

キッチンの窓が外に開け放たれて、赤い髪を無造作にたばねた女性が、顔を出した。

「どうしました? フィアン」

アンドロイドは、前髪をかきあげて、彼女を見た。

「チュティアが、いないの。そっちに行っていないかしら?」

フィアンは、少しあわてていた。

いたずら娘のチュティアが、またどこかにいなくなってしまったというのだ。

アンドロイドは、肩をすくめた。

「わかりました。わたしが、捜してみます」

アンドロイドは、さてと、と辺りを見回した。
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