天上のワルツが聴こえる
「リーファ!」

隣室から、アンドロイドが慌てて飛び込んで来た。

が、戸口でストップモーションする。

まだ、室内いっぱいに、少女の赤い髪が広がっていたからだ。

それはまるで、人体にはりめぐらされた毛細血管にとり囲まれているようでもあり、蜘蛛の子の繭のようでもあった。

「落ち着いてください」

優しく、アンドロイドは言った。

「ピーチ…」

少女の瞳は、涙でうるんでいる。

髪の毛が、ゆっくりと本来の姿に戻っていった。

「ピーチっ!」

まだ、床に着くほどの長さの髪をひるがえして、少女はアンドロイドに抱きついた。
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