天上のワルツが聴こえる
少女の足が、ぴたりと止まった。

「それは…」

少女は、自分の足元に視線を落とす。

息苦しくなるような緊張が、彼女の全身をつつんだ。

これは、もしかしたら…。

くるりと、フロルを振り返る。

「駄目よ」

「どうして?」

「だって…」

いっしゅん、ぐらりと視界が搖れた。

足元が崩れるような感覚が襲い、群青の空と、歪んだ街のパースペクティヴがぐるりと回った。
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