天上のワルツが聴こえる
そうだ。

これがキーワードだ…。

もう、逆らえない。

「あぶないっ!」

フロルの声と同時に、少女の躰は宙に舞った。

階段から転落し、下の踊り場に倒れ込む。

フロルは、あわてて石段を掛け降り、少女を抱き起こした。

「リーファ!」

その、華奢な躰を抱きしめる。

「ピーチ…」

無意識に、少女はその名を呼んでいた。

物心ついた時からいつも側にいて、哀しい時は抱きしめてくれたアンドロイドのピーチの腕と、同じぬくもりを感じていた。
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