天上のワルツが聴こえる
少女は、フロルを見上げた。

「もう…あたしは…要らないの…?」

少女の瞳に涙があふれた。

フロルは、少し困った顔をした。

いつもいたずらばかりして、何を考えているのか判らなかった彼が、はじめて見せた人間らしい表情だった。

「あいつが、そう言ったの?」

「ピーチのこと?」

フロルは、うなずいた。

「ピーチは、何も言わないわ…」

涙がこぼれて、頬を伝った。

「そう…」
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