天上のワルツが聴こえる
「あたしは、どうしたらいいの…?」

少女は、混乱していた。

あまりに急すぎたのだ。

彼女は、夢見であることの意味を理解せず奔放に生きてきた。

まさかこんな日が来ようとは、思ってもみなかったのである。

フロルは少女を抱き上げ、ゆっくりと石畳に立たせた。

幸い、怪我はない。

「あたし…死ぬの?」

少女は、両手でしっかりとフロルのコートをつかんでいる。

「君がもし、僕を信じられるなら…」

「信じられるなら?」

「救ってあげられるかもしれない」
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