天上のワルツが聴こえる
その後姿へ、フロルが声をぶつける。

「僕が、あそこへ連れてってやるよ」

「え?」

反射的にフロルを振り返った。

少年は、微笑んだまま丘の上を指さしている。

「それは…」

少女はぷるぷるとかぶりを振った。

「駄目よ」

「どうして?」

「だって…まだ…」

「まだ?」

その瞬間、少女は強烈な既視感に襲われた。 
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