天上のワルツが聴こえる
「それは、どういう意味ですか?」

アンドロイドは、声を荒らげて訊いた。

「新たな夢見の名前です」

「マザー…」

それは、絶望のつぶやきだった。

今日のマザーは、どうかしている。

いや、機械に、そんな言葉はあてはまらない。

マザーは、狂ってしまったのか。

さもなくば、狂っているのは、自分のほうだ。

「他に、質問はありますか?」

「いいえ。ありません、マザー」

アンドロイドがそう答えると、回線はすぐに切れた。

まるで、厄介ばらいができた、とでもいうような素早さだった。
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