天上のワルツが聴こえる
「リーファ…」

アンドロイドは、低い声でつぶやいた。

赤い髪をなびかせて、石畳の街を駆け抜ける少女の姿が、脳裏によみがえった。

いたずらっぽい笑顔が、はしゃぐ声が、彼の機械じかけの心を刺激した。

おまえは、自分の使命を全うすることだけを考えなさい…。

マザーは、そう言った。

自分の、使命。

それは、夢見であるリーファを護り、導き、このコロニーを維持管理していくことだ。

リーファを、護り…。

アンドロイドは、立ち上がった。
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