天上のワルツが聴こえる
いつか、どこかで、これと同じ会話をかわした。

いつか、どこかで…。

その時、少女は何と答えただろう?

少女はえたいの知れない恐怖を感じた。

何かが足元からヒタヒタと這いのぼってくるような、妙な生々しさだ。

「あたし、帰るっ!」

タッと駆け出した。

ローウエストの白いジャンバースカートが切り替えのところで翻った。

ニーソックスをはいた細い足が石畳を蹴ると、少女の髪は、風をはらんで宙を舞い踊る。

数ブロック走って、Gスクエアに出た。
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