天上のワルツが聴こえる
フロルは、壁のコンソールに歩み寄った。

コンソールに指を走らせて、くるりと少女を振り返る。

「さあ、そのステージに登って」

少女は、白い円形ステージに視線を移した。

堅くて冷たそうだ。

透明なドーム型のふたがまん中から割れ、ふたつに開いた。

自分がステージに乗ったら、再びそれが閉じるのかもしれない。

ドームカプセルの中に閉じ込められた自分の姿が、頭に浮かんだ。

それは、本能的な恐怖心をあおる光景だった。

少女は少しあとずさって、ふるふると首を振った。

「いや」
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