天上のワルツが聴こえる
「早く、リーファ」

早口で、アンドロイドがうながした。

少女は、慌ててタンデムシートによじのぼる。

アンドロイドは、親指でスターターを弾いた。

ふわっと車体が浮き上がる。

「しっかりつかまってください」

ギヤを落し、右足のヒールベダルを、かかとで思いきり蹴った。

むちゃくちゃなGがかかり、単車は宙に舞い上がった。

聖堂がみるみる遠ざかる。

「もう、会えないかと思った…」

アンドロイドの背中にしがみついたまま、リーファがしゃくりあげた。
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