天上のワルツが聴こえる
「おや、早いね。リーファ。どうだい? わしのパンを食べていかんかね?」

少女は、にこっと笑う。

「ありがとう。でも、急いでるから、この次にするわ」

「そうかい。残念じゃのう…」

ジョゼフじいさんは少女に笑いかけて、ヨボヨボと歩いて行った。

その後ろ姿を見送って、少女はつぶやく。

「おじいさん、ピーチのこと、見えてなかったみたい」

アンドロイドは、こともなげにうなずいた。

「そうですね。わたしは、機械ですから、彼の許容範囲外の存在なんです」

機械…。

少女の心に、その言葉が重くのしかかった。
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