天上のワルツが聴こえる
「ピーチ」

少女が、ふるえる声で言った。

「もしかしたら、Pプロジェクトは廃止されたんじゃないの?」

「根拠はありますか?」

「ううん。でも、せっかく外から扉を開けてくれても、夢見がいる限り、ここにいるヒトは、外へ出ていけないわ」

「そう…ですね…」

少女は、うつむいて唇を噛んだ。

何事か思案して、キッと顔を上げる。

「ごめんなさい。ピーチ…」

彼を見上げる瞳が、涙でうるんでいた。
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