天上のワルツが聴こえる
風が、赤い髪を波立たせた。

しかし、それは、風のせいではないかもしれない。

「判っています。わたしにも、やることができてしまいました」

壁がなくなってしまったことを、マザーが知らないわけがない。

それなのに、何故、このコロニーは変わらぬ営みをつづけてきたのだ?

それを解きあかさぬうちは外には出られないと、アンドロイドも思っていた。



と、その時。

2人の背後で、聞き覚えのある金属音がした。
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