My Home
―プロローグ―
「ただいま!!」
アタシは家の玄関を開けると、とてもすごく落ち着いた。
「おかえり。遅かったわね?」
お母さんがキッチンでご飯を作りながら言う。
お父さんがリビングでテレビを見ている。
「おぉ、由希。おかえり。」
「うん、ただいま」
「今日学校どうだった?」
「うん、楽しかったよ。」
「もうすぐテストだろ?勉強がんばれよ。」
「アハハッ、なるべく。」
そんな、何でもない会話。
でも、アタシは特別で、大切で、
一番の楽しみ。
アタシが生きてきた18年間。
こんな、幸せな日々は初めてだ。
だけど。
この、幸せにたどり着くまで、どれだけの辛い思いをしただろう。
5年という月日を重ね手に入れた幸せ。
もう、放してはいけない。
いろんなものを犠牲にした5年間。
アタシはその日々をどんな幸せに囲まれても、忘れない。
忘れちゃいけない日々だ。
あの時からアタシはどれほど強くなれただろう。
そんな辛さを乗り越えて掴んだ今をアタシは、
しっかり噛み締め生きている。