My Home
―プロローグ―

 「ただいま!!」

アタシは家の玄関を開けると、とてもすごく落ち着いた。

「おかえり。遅かったわね?」

お母さんがキッチンでご飯を作りながら言う。

お父さんがリビングでテレビを見ている。

「おぉ、由希。おかえり。」

「うん、ただいま」



「今日学校どうだった?」

「うん、楽しかったよ。」

「もうすぐテストだろ?勉強がんばれよ。」

「アハハッ、なるべく。」



 そんな、何でもない会話。

でも、アタシは特別で、大切で、

一番の楽しみ。


アタシが生きてきた18年間。

こんな、幸せな日々は初めてだ。


だけど。


この、幸せにたどり着くまで、どれだけの辛い思いをしただろう。


5年という月日を重ね手に入れた幸せ。

もう、放してはいけない。


いろんなものを犠牲にした5年間。

アタシはその日々をどんな幸せに囲まれても、忘れない。

忘れちゃいけない日々だ。

あの時からアタシはどれほど強くなれただろう。


そんな辛さを乗り越えて掴んだ今をアタシは、

しっかり噛み締め生きている。
































< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop