短編集。
拝啓、親愛なる
拝啓、親愛なる友人の君へ。
君に手紙なんて無意味な事だって知っているけど、君に秘密はしたくないから報告をします。
君の彼女が死にましました。
君の元へ行こうとしたのかなぁ。そこにいるかい?
マンションの屋上で俺に言うんだ。『彼に会いたい』なんて。
俺は、今まで精一杯彼女を励ましてやろうとしてたんだ。
それなのにそんな事言うから、俺じゃ役不足なんだって思い知らされてしまった。
彼女に俺の事なんか見えていなかったよ。君しか見てなかった。
そして、そこで彼女は死んだ。
せめて俺に出来る事はないのか、彼女を幸せにしてやれないのか、考えた結果だった。
本当にごめんな、俺は彼女の事が好きだった。
出会った時からずっと、君の彼女になってからもずっと、むしろ、どんどん好きになっていった。
だから苦しむ彼女を見ていられなくて、助けたくて…
殺したいほど愛しいなんて、綺麗事か?
でも君達は気付かないから、3人で遊んで、笑って…
どんなに、辛かったか君に判るか?
独りぼっちでいる時よりも孤独を感じて、けど離れたくなかった。