短編集。
ピ ピ ピ ピ
アホだ。今更震えてきたよ。
この音の点滅がなくなったら僕は死ぬんだよね。
今までやってきた事パァになる訳だ。
ああ、無意味な一生だったな。
ピ ピ ピ ピ
本当に愚かで馬鹿馬鹿しいな人間て。
強いふりしてこんなにも弱く、こんなにも往生際が悪い。
どうして死に際の自分が眼の前にいるのかとか、今もよく分からないけど
大事な事に気付けた気がするよ。
ボタボタと、僕の眼から涙が零れて止まらない。
今度は眼が乾いてるんじゃなくて、ただ感情的な涙。
…本当に死ぬの?
こんなにピンピンしてるのに。
そもそも、眼の前にいる僕は本当に僕?
潰れてぐちゃぐちゃで形なんかわからないよ。
生きた意味はあったの?
なにか報われたっけ?
死んだあとはどうなるの?
どうして「死んでも構わないなんて思っていたんだろう。」
いやだ。今死んで、いい事なんかない。
ピ ピ ピ
ピ――。
end.