短編集。
Don′t lost very fine


【DON’T LOST VERY FINE】




夕焼け小焼けに並ぶ影。
バイバイの時が近づいた。

「今日、楽しかったね」

「うん。楽しかった」




夕焼け小焼けに並ぶ影。

しばらく二人はお別れさ。



歩き慣れた通学路。
明日からはもう、通学路とは呼ばない道。

楽しい毎日、制服着て、馬鹿馬鹿しい事本気でやって、コイツと笑いまくって、幸せな日々だった。

明日からは、進む道が分かれて、コイツは遠くへ離れてく。
お別れ会はやっぱり馬鹿みたいに楽しく催された。

夕焼け小焼けに並ぶ影。
この一日は宝物。


けれど記憶には限りがあるから、

「…今日の事、忘れたくない。でもどうせいつか忘れちゃうんだろうね」

「…今日一日の出来事なんて、人生の何分の一でもないからね」

「どうしたら忘れないかな?」

コイツは自分の人生の一部だよ。
人生の一部、忘れるなんて虚し過ぎるだろう。

「…じゃあ、本当の本当に、人生において重要なことだけ覚えとけば?」

「例えば何?」


「お前の目の前にいる奴は人生の一部。…って事とか。」

笑うなよ。と怒られた。



そう。コイツが傍にいたから、今の自分のカタチがある。


「忘れんなよ」

「そっちこそ」



夕焼け小焼けに並ぶ影。

「またね」と言って道を分かれた。






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