短編集。
才能もないよ。親を説得する言葉も理解してくれる親も



努力する力も努力する時間もなりたいものを見つける力も



全部全部、何も持っていないよ。



なんで、わかってる筈なのになんでそういう事言うの。



『…私、中退決める迄に親と一杯喧嘩した。



親を困らせたくはなかったけど、夢は叶えたいから、



無理かもしれないけど、やらないで後悔するよりやって後悔するほうがいい。



…あんたは後悔が厭なんでしょう。



だったらもう、やるしか無いじゃない?



私だってあんたと頑張りたい。』





どうしても彼女は遠い。



私とまるで違う場所にいる。



『たまに会おう?メールもしよう。電話もしようよ。



私はこれから辛い事が沢山になると思う。



あんたが悩んでるみたいに何も言えなくなるかも知れない。



そしたら、誰よりもまずあんたに相談するから。



相談し合おうよ。一人になる訳じゃないんだからね?』





彼女のその姿は、将来云々よりも私がなりたいと思うもの。



未来の為に突き進む姿。





まずは本当にやりたい事を見つけなきゃ。



明日から彼女が学校にいない事を乗り越えなきゃ。



大丈夫。学校にいないだけ。会おうと思えば会えるから。





そう思った瞬間に、自分の単純さに呆れて思わず苦笑いがでた。

















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