短編集。
イキモノカタライズ
朝なんて、来なければいい。
そう願っても、世界の時計は止まることなく進みます。
―イ キ モ ノ カ タ ラ イ ズ―
今日の天気は晴れ。
気温もいい感じ。
あたしは、というと。いつも通りこの道を歩く。
世の中には頑張る勇気が出ない人間と頑張らない勇気が出ない人間がいます。
あたしは、主に後者。でも前者でもあるという、弱っちい人間です。
何度も、何度も投げ出そうとしました。
でも、その勇気が出なかったのです。
きっと今日もいつもの、想像することの容易い時間が流れるのでしょう。
きっと今日も、あの人は。
何があっても、辛くても、あたしは歩きます。歩いてしまいます。
いつもの制服を着ていつもの音楽を聴きながらいつもの電車に乗りいつもの駅で降りていつものコンビニに寄っていつもの学校に行っていつものことをするでしょう。
日常を、なぞるのでしょう。
苦痛と隣り合わせの日常を。
あたしは頑張っています。頑張ってしまいます。
頑張らない勇気が、出ないのですが、頑張れていない事が、沢山ありますが。
日常は、辛いことが沢山あります。
でも、頑張る勇気が無いから、死ぬ事も出来ません。
頑張らない勇気がないから、歩いています。
弱いおかげで、生きていられるみたいです。