最愛の母
■悲しみの扉が開いた
高校3年の冬。




母は胸のしこりを訴えていた。





今でも、私はあの光景が目に焼き付いている‥






朝7時頃。寝ていた私の枕元が突然慌ただしくなった。






ドタドタドタ





階段を忙しなく降りていく音。





そして、その音と共に






半分寝ぼけたままの私に父がこう言った。






「母さん、ガンだぞ‥」






「大変だぁ」





半分ふざけているのは見てとれた。






しかし、その時はまだ誰も病名は知らなかった…







父も。母も。姉も。







そしてこの私も…







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